第14回 (キヤノンEOS5) [カタログ・アーカイブス]
キヤノンEOS5 QDは1992年11月に発売されたオートフォーカス一眼レフカメラです。
カタログの中央に5つの四角い切抜きの穴がありますが、
これは5点測距のオートフォーカスのポイントを表現しています。
こんな穴の開いたカタログというのも珍しいんじゃないでしょうか。
(表紙をめくるとユージン・スミスの名作The Walk to Paradise Gardenが表れます。)
5点測距のオートフォーカスというのは当時はかなり贅沢な感じがしたものでした。
しかもキヤノンならではの新機能「視線入力」が搭載されていました。
視線入力とは?
キヤノンカメラミュージアムの解説を一部抜粋してみます。
「・・・・II+IIに配列された5つのフォーカスポイントから、
ピントを合わせたいポイントを選び、そこを見つめるだけで
自動的にオートフォーカスが機能する完全自動の夢の機能で、手動任意選択も可能・・・。」
この視線入力機能、その後のキヤノンカメラの標準的なファンクションになると思いきや、
EOS55、EOS7など、数機種に搭載されたのみで、デジタル時代になってからは
どうやら復活の兆しはありませんね・・・。
EOS5に関しては、私自身は、視線入力は十分実用になると思ったので、
(キャリブレーションすると、見つめたポイントにズバッととピントが来るので、感動した)
EOSデジタルに搭載されないのは、ちょっぴり残念なのです。
このEOS5、よい意味でも悪い意味でも非常にキヤノンらしいカメラでした。
カタログの写真はメチャクチャかっこよくて高級感があるけど、
意外とプラスチッキーで安っぽい感じだったなあ、たしか。
動作はキビキビしてて、スペック的にはEOS-1クラス。
かなりのロングセラーで、晩年はかなり安く売られて、お買い得でした。
第13回(PENTAX MZ-3) [カタログ・アーカイブス]
リコーによるPENTAXイメージング・システム事業の買収が決まりましたね。
最近PENTAXからQなんていうカメラが発表されましたが、
私としては、PENTAXには”一眼レフ”を軸に頑張ってほしいなあと思ってます。
今回紹介するカタログはPENTAX MZ-3、
1997年に発売されたフィルムAF一眼レフカメラです。
このカメラ、ボディのシャッターダイヤルとレンズの絞りリングで
露出を操作するようになっています。
つまりは昔のカメラと同じ操作系。そして、とても小型軽量。
PENTAXとしても原点回帰。これが非常にウケたのでした。
時計で言えば、アナログ時計のようなもの。
レンズに絞りリングがあることで、「絞り」とは何かが直感的にわかるものです。
電子式のカメラでは、初心者の方は絞りというのが理解しにくいのではないでしょうか?
2.8とか5.6なんて中途半端な数字の表示だけを見てもチンプンカンプンなのでは?
一眼レフカメラの基本形のようなデザインは、不思議と安心感がありますね。
それでいて古臭く見えない。
オリンパスのデジタル一眼レフカメラが、残念ながら、実質、休眠状態になっている今、
キヤノン、ニコンとは違う”一眼レフ”を提供してくれるのは、もうPENTAXしかありません。
(ソニーはα55の路線で行きそうですよね)
New PENTAX には、これからも一眼レフでガンガン勝負して欲しいですね。
第12回(ジャパニーズCONTAX) [カタログ・アーカイブス]
このカタログは私が1979年に手に入れたものですが、このRTSというカメラは
1975年に発売されたプロフェッショナル一眼レフカメラです。
カメラボディはポルシェデザインのヤシカ製、レンズはヤシカとカール・ツァイス。
いわばドイツと日本の合作でした。
そのためか、今、あらためて見ると、非常に合理的な仕様で驚きます。
当時プロフェッショナルのカメラというと、マニュアルの機械式というのが
当たり前だったと記憶しているのですが、RTSはAE(自動露出)搭載で、ストローク0.7mmの
フェザータッチの電磁レリーズなど、徹底的に電子化されたカメラだったのでした。
RTSとはReal Time Systemの略です。
高校生のときに私は、あれこれ悩んだ末にキヤノンA-1を買ったのですが、
他の候補として考えていたのが、コンタックス139クォーツというカメラでした。
RTSを小型化したようなカメラで、とにかくカッコよかった。
キヤノンA-1がトヨタや日産のスポーツカーだとすれば、139クォーツは、
(ポルシェデザインだけど)BMWという感じ。機種名が3桁ナンバーというのも
なんかカッコよかったですね。
50mmF1.7のプラナー付きなら価格もリーズナブルでした。
でも高価なツァイスレンズを揃える余裕はない・・・てなことで撤退し、
キヤノンに決めたのでありました。
今の私なら、廉価なヤシカMLレンズでレンズシステムを組んで、
勝負レンズにツァイス!の一点豪華主義で行くところですが、
高校生のガキには、そんな姑息な(笑)決断は無理だったのでした。
1980年になってニコンからプロフェッショナル一眼レフF3が登場します。
ジュージアーロのデザインで、電子化された、このニコンF3以前に、
ヤシカ・コンタックスRTSの存在があったことを覚えておく必要はあるでしょう。
1983年、ヤシカは京セラに合併。
初代RTSから10年後に一眼レフカメラ界に本格的なオートフォーカス時代がやって来ます。
コンタックス一眼レフの70年代のあの先進性は、
90年代に入って、心もち”いびつに”変形し、
アナログの極致、とも云うべきものに突き進みはじめました・・・。
1990年に登場したRTSⅢにはフィルムを圧板に吸着させるバキューム装置を搭載。
フィルム面を極限まで平面にし、高画質を追求。
1996年登場のAXは、なんとボディー内オートフォーカス・カメラ!
ボディ内部でフィルムを動かしてピントを合わせるという力技、
ここまで来ると、芸術とさえ呼べるような、
究極のアナログ・オーディオ装置の世界のようでもありました。
2005年に京セラはCONTAX事業を終了しました。
ヤシカ/京セラ・CONTAXは進化の袋小路に迷い込んでしまいました。
かといって、今生き残っているカメラたちの進化が正しい道なのかどうか・・・
それは、まだまだ、先になってみないと判らないのかも知れません。
第11回(PEN&TRIP) [カタログ・アーカイブス]
1980年のカタログです。
オリンパスのPENていうと、私なんかは、このPEN EE-3のイメージなんですよね。
いまのデジタルPENは、PENと呼ぶには、ちょっと高性能すぎる感じがしてしまいます。
OLYMPUS TRIPなんてのも、デジタルで復活してほしいブランドですね。
この玩具っぽいデザイン、今のデジカメで活かせないものでしょうか・・・。
高級コンパクトカメラXZ-1出てきましたね。
PEN E-P1みたいな遊びもなく、非常に真面目なデザイン。
ただ「F1.8」のエンブレムが、なんとなく昭和っぽいレトロな感じがして、
唯一のお遊びなのかな?なんて思ったりして(笑)。